| More ... | PDB:3a6pタンパク質名エキスポーチン5、RanGTP、マイクロRNA前駆体の複合体 生物種ヒト(Homo sapiens)、イヌ(Canis lupus familiaris) 生物学的役割小さな非翻訳領域RNA(non-coding RNA)の一つであるmicroRNA(miRNA、マイクロRNA)は、動物、植物、真菌類に至るまで、広範な生物種に存在する。microRNAは、相補的な配列を有する標的mRNAの安定性や翻訳効率を制御するほか、染色体に影響を与えることで発生や分化に関与する種々の遺伝子の発現を調整する。microRNAは、はじめに核内で数百塩基から数千塩基の長さを持つpri-microRNA(マイクロRNA前駆体)として転写される。pri-microRNAは核内RNaseIII(リボヌクレアーゼIII)であるDroshaによって3’末端が2塩基突出したステム-ループ(stem loop)構造を持つpre-microRNA(約65ヌクレオチド)になり、RanGTP存在下において輸送因子エキスポーチン5(exportin-5)によって細胞質へと輸送される。輸送されたpre-microRNAは細胞質でmiRNAとなり機能する。この度、エキスポーチン5、RanGTPおよびpre-microRNAの3者が核内で結合している構造を決定し、pre-microRNAの運搬の仕組みを明らかにした。 立体構造の特徴
エキスポーチン5:RanGTP複合体は、野球のファーストミットのような構造をとり、そのミットの内側は塩基性アミノ酸が集まってRNAと相互作用できる構造になっている(図1)。また、ミットの内側はpre-microRNAのステム領域と広い範囲で弱く相互作用している。このミット構造によって、細胞内にたくさん存在するRNA分解酵素からpre-microRNAを保護できるようになっている。
ミットの底の部分にはトンネル構造があり、pre-microRNAの3’末端の2塩基突出した部分が収まっている。トンネル構造内に収まった3’末端の2塩基は、エキスポーチン5のアミノ酸残基と水素結合や塩橋によって安定化されている。また、トンネル構造が3’末端突出型RNAと5’末端突出型RNAの違いを認識している。 エキスポーチン5が、pre-microRNAの塩基配列には依存せず様々なpre-microRNAと結合でき、pre-microRNAだけでなく3’末端突出構造をとるtRNAや小さいRNA(例、humanY1、adenovirus VA1 RNA)とも結合可能なことを、エキスポーチン5:RanGTPとpre-microRNAの相互作用の特徴から明らかにした。 タンパク質構造データバンク(PDB)参考文献原論文
その他
著者: 山下 栄樹 |