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PDB:2zuo

タンパク質名

ヴォールト

生物種

ドブネズミ(Rattus norvegicus)

生物学的役割

1986年に米国UCLAのL. H. Romeらのグループによってラット肝臓より単離されたヴォールト(vault)は3種類の蛋白質(Major Vault Protein (MVP)、Vault poly (ADP-ribose) polymerase (VPARP)、Telomerase associated protein 1 (TEP1))と1種類のRNA(vRNA、141塩基)によって構成されており、分子量約1000万でサイズが約40×70nm という、ウィルスを除いて今日までに報告されている中では最大のRNA-蛋白質複合体である。ほとんどの粒子は細胞質内に存在するが、全体量の5%程度が核膜孔複合体(NPC)とその周辺に局在し、核-細胞質間物質輸送に関与しているのではないかと考えられてきた。最近になり、ヒト由来ヴォールトを構成するvRNAが、抗癌剤のミトキサントロン(mitoxantrone)と特異的に結合するという報告があり、ヴォールトの多剤耐性への関与を示す有力な証拠となっている(Gopinath et al., Nucleic Acids Res., 33, 4874-4881 (2005))。また、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染の際、ヴォールトが肺上皮細胞の脂質ラフト(lipid raft)に急速に集まる現象が確認されており、自然免疫反応への関与も示されている(M. P. Kowalski et al., Science 317, 130-132 (2007))。

立体構造の特徴

2zuo2zuo_x2zuo_y
2zv42zv4_x2zv4_y
2zv52zv5_x2zv5_y

PDBjMine:2zuo、中央 PDBjMine:2zv4、下 PDBjMine:2zv5

2008年に3.5Å分解能で決定されたラット肝臓由来ヴォールトの外殻の全立体構造を図1に示した(H. Tanaka et al., Scinece 323, 384-388 (2009))。

図1 Vaultの全体構造(左)とMVPモノマーの構造(右)

ヴォールトの外殻は縦長の非常に特徴的な構造を持つMVPが78個集まることによって形成されていた。MVPは逆平行βシートで形成される9つのRepeat domainとShoulder domain、Cap-helix domainおよびCap-ring domainの計12個のドメインで構成されており、Cap-helix domain間の分子間疎水結合が粒子形成に重要であることが明らかになった。立体構造から得られた最も興味深い情報は、ヴォールトが脂質ラフトへの結合に重要であるとされるStomatin の中心ドメイン(Pyrococcus horikoshii由来、PDBjMine:3bk6)と類似の構造を有するということであった。この事実は、肺上皮細胞への緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染の際にヴォールトが脂質ラフトに集まるというKowalskiらの実験結果と一致しており、ヴォールトの自然免疫への関与の可能性を示す大きな証拠となった。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Tanaka, H. Kato, K. Yamashita, E. Sumizawa, T. Zhou, Y. Yao, M. Iwasaki, K. Yoshimura, M. Tsukihara, T.; "The structure of rat liver vault at 3.5 angstrom resolution"; Science; (2009) 323:384-388 PubMed:19150846.

その他

著者: 田中 秀明


English version:PDB:2zuo