| More ... | PDB:2IO5タンパク質名CIA-ヒストンH3-H4複合体 生物種ヒト 生物学的役割ヒストンはDNAをコンパクトにまとめる働きをしており、DNAと共に染色体の基本構造であるヌクレオソームを形成する。ヌクレオソームはヒストンH2A-H2B 2量体2つとヒストンH3-H4 4量体からなるヒストン8量体の周りにDNAが巻きつく構造をしている(PDBjMine:1AOI)。また、ヒストンのアセチル基、メチル基修飾などは遺伝子の発現パターンに作用するため、エピジェネティクスの観点からヒストン自体も重要な遺伝情報である。 ヒストンシャペロンCIA/ASF1はヒト細胞や酵母で他のヒストンシャペロンと複合体を形成しヌクレオソーム形成に関わることや、酵母でDNA複製、転写、DNA修復、サイレンシング/抗サイレンシングに関わることが示されている。また、ショウジョウバエでCIA-ヒストンH3-H4複合体がヒストンシャペロンCAF-1の活性促進因子として単離されている。ヒストンシャペロンは上記のように多様な役割を果たし,まだ詳細は不明な機能が多いが、ヌクレオソームの形成と分解に作用していることは間違いない。 今回のヒストンシャペロンCIA-IとヒストンH3-H4 2量体からなる複合体の結晶構造(図1)により、ヌクレオソーム変換機構の中間体構造が明らかになった。ヒストンシャペロンが強固なH3-H4 4量体構造(図2)を破壊し2量体2つに分解することを可能にしている。よって、染色体の複製過程で、DNAの半保存的複製と同様に、ヌクレオソーム構造単位でも半保存的複製が可能であることが示唆された(図3)。 立体構造の特徴
ヒトのCIA-IとアフリカツメガエルのH3、H4との複合体の結晶構造が解像度2.7Åで解かれた。H3とH4はヒトとアフリカツメガエル間での違いは計1残基であり、それは複合体接触表面上ではないことから、この結晶構造は同種の系(homologous system)とみなすことができる。 CIA-IとH3、 CIAとH4はそれぞれ接触しており、興味深いことにH3、H4の接触表面はヒストン8量体形成で他のサブユニットと結合している部分である。ヒストンH4のβ構造をとっているC末端が大きな構造変化を起こし、結合相手をヒストンH2AからCIA-Iに変更している。また、CIA-IはH3-H4と結合する際に、H3-H4 4量体の片方のH3-H4と入れ替わるような位置にある。つまり、片方のH3-H4 2量体は相互排他的に、CIA-Iあるいはもう片方のH3-H4 2量体と結合する(図1、2)。これは、CIA-IがH3-H4 4量体を破壊する能力を保持していることを示す。加えてCIA-Iの破壊活性はin vitro機能解析でも確認された。 ヌクレオソームの破壊はCIA-Iとの結合で説明可能であるが、逆の形成メカニズムはDNAや他のヒストンシャペロンの作用が必要であると考えられる。今後、その形成メカニズムの解明と、ヌクレオソームの半保存的複製方法の立証が期待される。
タンパク質構造データバンク(PDB)参考文献原論文
その他著者: 藤田直也 |