| More ... | PDB:2BA0タンパク質名古細菌のRrp4エクソソーム 生物種Archaeoglobus fulgidus (古細菌) 生物学的役割RNAはDNAから転写された後、様々な役割を果たす。mRNAのようにタンパク質へ翻訳されるものもあれば、tRNA、rRNA、リボザイムのように翻訳されず分子自身が機能を持って働くものもある。このように、RNA分子が機能的に働くためには、RNAはプロセシングを受けなければならない。エクソソームは、酵母のrRNAの成熟に必要なRNase活性を持った巨大なタンパク質複合体として発見された。そして、その後の研究により、エクソソームは古細菌や真核生物にも存在し、tRNAだけでなく、mRNAやその他の非翻訳RNAの成熟にも関わっていることが報告された。しかし、エクソソームの構造がほとんど解明されていないため、RNAのプロセシングや分解を選択的に行なう多様な機能がどこから生じているのかはわかっていなかった。 立体構造の特徴
Buttnerらは、古細菌の9量体エクソソームの結晶構造を報告した。ここで示されているのはRrp4:Rrp41:Rrp42=3:3:3の複合体(Rrp4エクソソーム)で、Rrp41-Rrp42の6量体のRrp41サブユニットに、3量体Rrp4がキャップのように結合している。Rrp41-Rrp42の6量体(RNase PHドメイン)はリング状の構造で、neckと呼ばれる10ÅのポアとRNAの3’末端を加リン酸分解する活性中心を持つ。タングステン酸化物による異常分散の実験にから、加リン酸分解反応の活性中心はRrp41とRrp42の接触面のRrp41側のアスパラギン酸残基が有力であるということ、RNase PHドメイン底部にもポアがありこれが加リン酸分解の活性中心へ続く道となっていることが示唆された。しかし、小麦や酵母のRrp4エクソソームはin vitroでRNase活性を示したのに対し、古細菌のRrp4エクソソームはin vitroでRNase活性を示さなかった。その相違がどこから生じるのかは不明である。Rrp4はN末端(NT)、S1、KHの3つのドメインから構成される。これらの疎水表面がRrp41またはRrp42の疎水表面と相互作用して9量体を形成する。また、3つのドメインの表面は正電荷に富んでおり、RNAや共因子など様々な分子が結合する場と推測される。特に、S1には正電荷に富んだポアが存在するため、ここが主要なRNA結合部位だと考えられている。以上の知見から、以下のようなエクソソームのRNA分解機構のモデルが示唆された。まずRNAはRrp4の表面に結合する。次に、S1のポア、neckを通り、加リン酸分解の活性中心へたどり着く。このとき、Neckのポアの大きさは10オングストロームととても小さいので、RNAは完全に二次構造がほどかれなければならない。そして、RNAの3’末端は切断され、切断された断片は底部のポアから出て行く。このモデルは、脊椎動物のエクソソームのRNA分解機構だけでなく、プロテアソームによるタンパク質の分解機構の基本的な枠組みになるであろう。 タンパク質構造データバンク(PDB)参考文献原論文
その他
著者: 稲生 大輔 |