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PDB:1ZCD

タンパク質名

ナトリウムイオン/水素イオン 逆輸送体

生物種

大腸菌

生物学的役割

細胞内(細胞質)のpHを厳密に保つことは、生物にとって生死にかかわる重要なことである。なぜならば、細胞内の各種の酵素が本来の機能を発揮するためには適切なpH下に存在することが前提になっており、また細胞の大きさも細胞内外の pH 勾配によって、バランスが取られちょうど良いサイズに保たれているからである。それではどうやって pH、言い換えるとプロトン(水素イオン)の濃度を制御しているのだろうか? それは細胞膜にある「ナトリウムイオン依存性運搬タンパク質」によって巧妙になされている。 本来、細胞の内外を隔てる細胞膜は脂質二重層で構成されており、プロトンも含め、電荷をもつ分子(イオン)を全く通さない。しかし、膜を貫通するかたちで存在する膜タンパク質(膜輸送タンパク質)が、イオンを通す通路を作り、細胞の内外の各種のイオンの量を選択的に制御している。膜輸送タンパク質には、構造的に運搬タンパク質とチャネルタンパク質の2種類がある。また運搬タンパク質によるイオンの輸送形態には、単輸送(ユニポート)、共輸送(シンポート)、対向輸送(アンチポート)の3種類があり、対向輸送では2種類のイオンが逆方向に運ばれる。「ナトリウムイオン依存性運搬タンパク質」のひとつである Na+/H+ 逆輸送タンパク質は、ナトリウムイオンとプロトンを逆方向に輸送することで、細胞内のプロトンの濃度、つまり pH を制御している。

立体構造の特徴

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ここに示した構造は、大腸菌や多くの腸内細菌に見られるナトリウムイオン / プロトン(交換型)逆輸送タンパク質である NhaA のX線構造解析法による酸性条件下における構造である。一方、アルカリ条件下での構造は、低温電子顕微鏡法で低分解能ながらも既に報告されている。NhaA は12本の膜貫通αらせんで構成されている。2本のαらせん(IVとXI)が膜の中間あたりで交差し、細胞質側(細胞の内側)に向けてロート状の空間を形成している。ロートの内側には負電荷のアミノ酸が存在し、ナトリウムイオンを取り込むのに好都合になっているが、細胞内が酸性の場合(pH 6.5以下)には通り抜けられない構造になっている。一方、細胞内がアルカリ性の場合(pH 6.5 以上)には立体構造が大きく変わり(活性化構造)、ナトリウムイオンを細胞外へ出し、プロトンを細胞内へ取り込むことで、細胞内の pH を保っている、と考えられる。 なお、ここに示されている構造は2分子含まれているが、働く単位は1分子である。 この分子は2つのドメインから構成されている。

"seen_from_membrane" (図1)細胞膜側から見た分子構造。2つのドメインから構成されている。
"seen_from_cytoplasm" (図2)細胞質側(図1の上側)から見たもの。
"seen_from_cytoplasm" (図3)ロート構造を形成する、2つの交差したらせん(赤:IV 黄:XI)。視点は図1と同じ。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Hunte, C. Screpanti, E. Venturi, M. Rimon, A. Padan, E. Michel, H.; "Structure of a Na+/H+ antiporter and insights into mechanism of action and regulation by pH."; Nature; (2005) 435:1197-1202 PubMed:15988517.

その他

著者: 野村 幸代


English version:PDB:1ZCD