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PDB:1SG1

タンパク質名

神経成長因子(NGF)/受容体p75 複合体

生物種

ヒト

生物学的役割

神経システムの発達は、ニューロンと呼ばれる、長い軸策と枝分かれした樹状突起をもつ細長い細胞の生成によって始まる。軸策と樹状突起は他の離れた細胞をつないでいる数多くのシナプスを形成しており、ニューロンはシナプスを通して送られてくる刺激によって、他の細胞と伝達しあっている。軸策と樹状突起は、ニューロンの先端に神経成長円錐を作ることによってニューロンから成長していく。この成長円錐は、成長の経由にそって、さまざまなシグナル分子の助けを受けながら、ターゲットとなる組織へと向かって成長していく。しかし、ターゲット組織に到着できるニューロンは、数が限られており、生き残った数とそのタイプは、ターゲット組織によってあらかじめ選ばれた成長因子によって決められている。ニューロトロフィン(神経栄養因子の総称で、神経成長因子もここに含まれる)は、この成長因子のファミリーを形成しており、脊椎動物の神経システムの発達と維持に重要な役割を果たしている。神経成長因子(NGF)はニューロトロフィンの一種であり、NGFが存在することによって、交感神経系のニューロンや神経冠から作られたニューロンを、生き残らせることができる。NGFは軸策や樹状突起の派生物の成長の調節も行なっており、NGFが存在すると成長を促進、存在していないと成長が阻害される。また、NGFは二つの異なるニューロン細胞表面受容体、p75受容体とTrkチロシンキナーゼ受容体、を結合することによって機能することが知られている。

立体構造の特徴

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p75受容体に結合したNGF二量体の立体構造が決定された。p75の細胞外ドメインは長く細い蛋白質で、その窪みに、より小さなNGF二量体が結合している。NGF二量体はそれぞれ対称な位置にp75結合部位を2つずつ持っているが、NGF二量体はp75と非対称に結合しており(すなわち片方にしかp75が結合しておらず)、もう一方のp75結合部位の構造は変化してしまう。この結果、p75受容体の二量体は形成できない。このことから、p75を介した神経伝達物質の伝達は、p75二量体が形成されずに神経伝達物質2に対してp75が1の割合の複合体が形成されることによって、生じることがわかった。さらに、2:1神経伝達物質-p75複合体は、Trk受容体と結合し、3分子信号伝達複合体を形成するのではないか、と考えられている。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • He, X.L. Garcia, K.C.; "Structure of nerve growth factor complexed with the shared neurotrophin receptor p75"; Science; (2004) 304:870-875 PubMed:15131306.

その他

著者: Ashwini Patil 訳者:土屋 裕子


English version:PDB:1SG1