| More ... | PDB:1FOSタンパク質名転写因子c-Fos-c-Jun / DNA 複合体 生物種ヒト(Homo sapiens) 生物学的役割がん原遺伝子は正常な遺伝子であるが、変異したり異常に発現したりすると、細胞増殖を導き、癌を発現してしまう。 FosとJunは、このようながん原遺伝子から発現した蛋白質である。FosとJunはお互いに結合して複合体を形成し、転写因子として働くアクチベーター蛋白質1(AP1)となる。転写因子は、DNA上の遺伝子の発現を調節する蛋白質であり、具体的には、その遺伝子に結合して、RNA合成酵素がRNA合成が開始するDNA上の領域(プロモーター領域)に結合するのを助けている。転写因子の働きは、DNAのRNAへの転写を増加させ、結果として遺伝子発現を より増加させる。 AP1は特に、細胞分裂を誘導する遺伝子の 5'-TGAGTCA-3' 領域に結合し、細胞分裂を促進している。 立体構造の特徴
c-Fosとc-Junの塩基-ロイシンジッパー領域(bZIP)がお互いに結合した2量体に、DNAがピンセットのように結合した複合体の立体構造が決定された。c-Fosとc-JunはbZIPドメインで相互作用している連続したαヘリックスを形成し、その結果、C末端領域に非対称なコイルドコイル(らせん状にねじれた構造)を生じている。そして、DNAのメジャーグルーブ(大きな溝)のある特別な塩基と接触するために、この二量体は分離する。この時、c-Junはc-Fosと比べて、わずかにつよくねじれている。 Fos-Jun二量体について、2種類の立体構造(二量体の軸に対して180度回転した2つの構造)が決定された。これらの構造から、DNA上のAP1結合部位へのFos-Jun二量体の結合には、特に優先する結合方向はない(すなわち、5'-TGAGTCA-3' でも5'-TGACTCA-3'でもどちらにでも結合できる)、そして、コイルドコイル領域はDNAの塩基領域と自由に相互作用できる、ということが明らかにされた。また、JunとFosの間に強い静電的相互作用ネットワークが形成されるため、Jun同士、またFos同士の二量体形成よりも、Jun-Fos二量体の形成の方が優先しておこることもわかった。 タンパク質構造データバンク(PDB)参考文献原論文
その他著者:Ashwini Patil 訳者:土屋 裕子 |