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PDB:2AVX

タンパク質名

菌体密度感知タンパク質 SdiA

生物種

バクテリア(大腸菌)

生物学的役割

我々人間が互いにコミュニケーションをとるのと同様に、細菌も互いにコミュニケーションをとっている。その方法の一つが、クオラムセンシング(菌体密度感知システム)である。 多くの細菌は自己誘導物質(オートインデューサー)とよばれる物質を生成して細胞外へ放出している。細菌が増殖するのに伴い、細菌のまわりの自己誘導物質の濃度も増加する。自己誘導物質の濃度がある閾値を超えたとき、細菌内に存在する自己誘導物質受容タンパク質が自己誘導物質と複合体を形成して活性状態となり、特定の遺伝子の転写を活性化する。このシステムは、単体では立ち向かえない相手(免疫系など)に対して、十分な数の仲間が集まったときにのみ一斉に機能(毒素の放出など)を発現させるという細菌の戦略と捉えることができる。自己誘導物質とそれに関与するタンパク質は菌の種類によって異なる。例えば、多くのグラム陰性細菌は自己誘導物質としてN-アシル-L-ホモセリンラクトン(ホモセリンラクトンに数個のアシル基がついたもの)を採用している (Fig.1)。

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そして、それを合成するLuxIファミリータンパク質と、それを受容するLuxRファミリータンパク質を持っている。大腸菌のSdiAもLuxRファミリーのタンパク質であり、C8-HSL(N-octanoyl-L-ホモセリンラクトン)を自己誘導物質として受容する。C8-HSLの存在しない状況では、SdiAは天然構造にフォールディングすることができない。つまり、C8-HSLはSdiAを正しい立体構造へと導くフォールディングスイッチの役割を持っている。SdiAとC8-HSLの複合体は細胞分裂装置遺伝子のflsQAXオペロンを転写活性することが分かっている。しかし、大腸菌にはLuxIファミリーのような自己誘導物質を生成するタンパク質は存在しない。つまり、大腸菌のSdiAは異種の菌由来の自己誘導物質を認識、受容するタンパク質だと推測することができる。実際、C8-HSL以外のC6-HSLや3-oxo-C8-HSLなどのホモセリンラクトンもフォールディングスイッチとして働くことが報告されている。SdiAは異種細菌間のコミュニケーションに携わる重要なタンパク質として注目されている。

立体構造の特徴

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下記の立体構造はSdiAのN端ドメイン(1-171)とC8-HSLの複合体である (Fig.2)。 5本の逆平行βストランドが5本のαヘリックスによってはさまれたα/β/αサンドウィッチとよばれる構造をとっている。N末端側のα2とC末端側のα5が疎水性相互作用することによりfoldの全体構造が安定化されている。Tiプラスミドの自己誘導物質受容タンパク質であるTrarととても構造が似ている。自己誘導物質であるC8-HSLはα3、α4、β構造、G1(3-10ヘリックス)によって囲まれた疎水性ポケットに入っており、天然状態に折り畳まれたSdiAのコアとなる部分を形成している。

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タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Yao, Y. Martinez-Yamout, M.A. Dickerson, T.J. Brogan, A.P. Wright, P.E. Dyson, H.J.; "Structure of the Escherichia coli quorum sensing protein SdiA: activation of the folding switch by acyl homoserine lactones."; J.Mol.Biol.; (2006) 355:262-273 PubMed:16307757.

その他

著者: 伊東 純一


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